knightに学ぶ、英語の発音とスペルがぜんぜん一致してない理由【解説】
knight に限らず、英語という言語は発音とスペルが一致しない言語です。スペルを覚えるのは大変ですが、その分歴史が垣間見えるものでもあります。
とりあわけて、knight という単語はスペルの半分が発音されず、i もアイと読まれるなど歴史のほとんどを伺える単語です。
英語はなぜこのような複雑なスペルが使われるのでしょうか?
この記事では英語のスペルにまつわる歴史を knight を取り上げながらその理由を解説していきます。
英語の成り立ちに興味がある人は楽しめると思うので、ぜひ最後まで読んでみてください!
目次
knight の歴史
knight のスペルには歴史的な出来事が含まれています。まずはもともとのスペルから見てみましょう。
元々の発音
knight はもともと “cniht” と書かれており、発音も “クニヒト” でした。
もちろん、全くのカタカナ発音ではないのですが、カタカナに直すとこんな感じです。
クニヒトって日本人みたいですね
この “cniht” は次第に “kniht” と書かれるようになりました。
さらに、歴史的な出来事の連続で3つの変化の変化を起こしています。
これら変化というのは英語の歴史そのものであり “kniht” だけではなく他の言葉にも影響を与えています。
同じ変化をした言葉も一緒に紹介していきます。
h の発音変化と省略、g の追加
“kniht” の “h” が発音されなくなった原因には、フランス語の影響があります。
実は英語はもともとドイツ語やオランダ語と同じファミリーの言語ですが、フランス語の影響もかなり受けており、単語をフランス風に発音するようにもなりました。
フランス語では一般的に “h” は発音されないため “kniht” も ”クニヒト” ではなく “クニート” という音になりました。
しかし、すべての “h” が発音されてなくなったわけではなので、発音するされるもと発音されないものを区別する工夫が行われました。
それが発音されない “h” の前には “g” を加えるというものです。
この時点でスペルは “knight” になりました。
これは日本語の「っ」みたいなもので、日本語も「っ」と表記はするが、厳密には発生を止めています。
だって、もっと、よっしゃ、
改めて言ってりると音を短い時間止めるような発音なのがわかると思います。
でも文字に起すときに「っ」を付け加えたいですよね。
英語も同じで、発音されない “h” の前に “g” を当てたくなったのでしょう
i の発音変化(大母音推移)
“h” が発音されなくなったりしたのですが、子音だけでなく母音も変化しました。
それが1400年~1600年頃にかけて起こった大母音推移です。
大母音推移とはその名の通り、母音の音が変わってしまったことです。
日本語でも「えごま」のことを「いごま」って言う人がいたり、「大阪」は昔の日本語では「あうさか」だったりと母音の変化というのはあり得ます。
しかし、英語はたった200年ほどで a, e, i, o, u のほとんどが変わってしまいまいた。
変化前 | 変化後 | |
---|---|---|
a | アー [aː] | エイ [eɪ] |
e | エー [εː] | イー [iː] |
i | イー [iː] | アイ [aɪ] |
o | オー [oː] | ウー [uː] ウ [u] ア [ʌ] |
u | ウー [uː] | アウ [au] |
どうしてこのような大きな変化が短期間で起こったのかは、未だにさまざまな説が唱えれられておりよくわかってないません。
とりあえず、”knight” の発音については、イー [iː] の音が アイ [ai] に変わったことで、”クニート” という発音から “クナイト” へ変化しました。
k の発音の省略
“kniht” はフランス語の影響や大母音推移によって “クナイト” と発音されるようになったのですが、この “kn” という発音は次第に “k” の音が省略されるようになりました。
理由は単純で、省略した方が発音しやすいからです。
一説にはこの “k” の省略は約300年ほど前から変化していったとされています。
この変化は “kniht” だけでなく他の言葉にも起こります。
knife ‥ ナイフ
knee ‥ 膝
know ‥ 知る
knob ‥ ノブ
knock ‥ ノック
これらの言葉ももともと “k” は発音されていたのですが省略されるようになり、現代の発音に近づいたのです。
発音の変化の順番は?
この記事では “knight” の変化を以下の順番で紹介しました。
① h の発音変化と省略、g の追加
② i の発音変化
③ k の発音の省略
しかし、この変化の順番は正直なところ曖昧で、どの順番でいつ頃変化したかはわかっていません。
フランス語の影響を受けたノルマン・コンクエストが起こったのは1061年なのですが、”h” の発音がいつ省略されるようになったのかは不明です。
そして、”kn” の “k” の音が省略された時期と大母音推移が行われた時期も被っているため、これらの変化については順番が良くわかりません。
ただ、それぞれの変化の理由は紹介した通りなので、英語のスペルや発音に歴史を感じ取ってもらえればと思います。
英語のスペルと発音が一致しない理由
knight の歴史を振り返るなかで英語の歴史を振り返ることができました。
しかし、なぜそもそもこれほどまでにスペルと発音は離れてしまったのでしょうか?
国が統制しなかった
一つ目の理由は国がスペルを統制しなかったからです。
ノルマン・コンクエストによってイギリスの上流階級の人々はフランス語を話すようになりました。
フランス語を話す人にとって英語のスペルなどどうでもよく統制が図られなくなりました。
それまでの英語(古英語)ではスペルは統一されていたのですが、これを受けてノルマン・コンクエスト以降の英語(中英語)では各々が勝手に文字を綴るようになり、スペルはばらばらになってしまったのです。
一説には through というこ515通りのスペルがあったとされいます。
なんでもありですね、、、
学者の謎のこだわり
そして二つ目の理由については本当に現代人の多くが迷惑しているもので、学者のこだわりによってスペルが複雑になりました。
中英語時代は古代ローマへのブランドがすさまじく、古代ローマで使われていたラテン語もまた素晴らしいものとされていました。
したがって、英語のスペルもできるだけラテン語に似せようと発音しないのにスペルを付け加えるということがしばし行われました。
例えば、debt という単語は借金という言葉でカタカナでは “デット” ですが、b は発音されません。
フランス語から流入したこの言葉はもともと dette と書かれていました。しかし、よりラテン語の debitum と知被けるためにスペルを改め b を加えられました。
このように、学者たちのこだわりによってスペルには発音されない文字が含まれているのです。
何してくれてんねん
活版印刷
三つ目の理由は活版印刷の登場です。
英語はさまざまな歴史的な影響からスペルや発音がばらばらになってしましました。
時代が進むについれてこれをスペルを統一したり発音に近づけようとしたのですが、そうするころにはもう遅かったのです。
実はスペルを統一しようとする試みたときには、活版印刷の登場により大量の本や記事が印刷されるようになりました。
スペルが正される前に印刷が進み普及してしまい、修正が間に合わなかったのです。そしてそのとき使われたスペルがそのまま定着したのです。
このように、国がスペルを統制しない、しようとしても印刷技術の発展で間に合わない、学者の謎のこだわりなどにより、英語の発音とスペルはぐちゃぐちゃになってしまいました。
まとめ
この記事では knight のスペルから英語の歴史の紹介しました。スペルと発音が一致しない理由については大きく3つの出来事を紹介しました。
やはり、ノルマン・コンクエストは発音やその後の国の統制に強く影響を与えていることがわかります。
英語のスペルはとても覚えにくいし、見ただけでは発音することができないものでもあります。
ただ、そのスペルは英語が歩んできた歴史そのものであります。歴史的仮名遣いってやつですね。
個人的には面白いですが、覚えやすいスペルに直してほしいです。もう一回がんばって覚えるから。。。むりよね
他にもノルマン・コンクエストによる影響を解説した記事があるので、ぜひ読んでみて下さい。