英単語に同じ意味の言葉が多い理由【解説】

英語の勉強しいると同じような意味を持つ単語をたくさん目にします。

もちろん、同じような意味でも若干ニュアンスが異なり使われ方も違うのですが、そもそもなぜ似たような意味を持つ単語がたくさん存在するのでしょうか?

実は、これには英語の歴史が関係しています。

この記事では英語の単語に似たような意味を持つ言葉がたくさんある理由を解説します。

解説する過程で英語の歴史にも少し触れるので、英語の語源や歴史に興味がある人も楽しめる内容になっていますので、ぜひ最後までお楽しみください!

この記事を書いたひと
daraEnglish中の人
daraEnglish中の人

大学で留学生との研究生活で英語を習得。
大学院では研究生活が認められ卒業生総代に選ばれる。
アウトプットを通じて英語を習得した経験から学習サイトdaraEnglish の制作。

英語の歴史

英語はヨーロッパの言葉なので、ヨーロッパについて考えると英語の歴史も理解しやすくなります。

ヨーロッパの二つの言語

ヨーロッパには超ざっくり分けると二つの言語があります。

ゲルマン民族が話していたゲルマン系言語と、ローマ人が話していたラテン系言語です。

北と南って感じですね。
本当はもっとあるのですが、割愛します。

ゲルマン系言語

ヨーロッパの北側にはゲルマン人が住んでいました。

ゲルマンとは German と書かれ、英語発音するとジャーマンです。このスペルや発音からピンとくる人もいるかと思いますが、彼らはドイツ人の先祖です。

英語でドイツは Germany と書きますね、当然ドイツ語はゲルマン系言語の一つです。

ゲルマン系言語にはドイツ語の他にもオランダ語、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語などさまざま存在します。

これらの国々は現在でもヨーロッパの北側に位置しているので、地理的にも似た言語であることがわかりやすいですね。

ラテン系言語

対して南にはローマ人が住んでおり、ラテン系言語が話されていました。

これは現在のイタリア語、スペイン語、フランス語、ルーマニア語などがそれにあたります。

現在ではラテン語そのものは話されていないのですが、ルーマニア語は比較的ラテン語に近い言語だと言われています。

もともとルーマニアとはロマニア(ローマ人とダキア人の混血)の国という意味で、ローマ人の末裔を自認しているのが名前の由来です。

英語はゲルマン系言語?

ヨーロッパには北のゲルマン、南のラテン、二つの大きな言語がありました。

そして英語はもともとはゲルマン系の言語です。

英語は北出身ってことですね、

今あえて ”もともとは” という書き方をしました。

たしかに、英語はゲルマン系の言語です。そして同じゲルマン系言語のオランダ語とはそっくりな言語でもあります。

しかし、英語の歴史とはイギリスの歴史であり、英語の歴史もそれ相応の出来事を経験しています

フランス語の流入

英語の先祖がゲルマン系言語ですが、実は現代の英語はフランス語影響をかなり強く受けています

これは11世紀の出来事であるノルマン・コンクエストが原因にあります。

ノルマン・コンクエストとは、ノルマンディー公国(フランスの北)のウィリアム1世がイングランドを征服し、王になった事件です。

実はヨーロッパでは王位を他国の親類に譲ることはちょこちょこあったのですが、ノルマン・コンクエストは武力制圧であり、貴族などの上流階級の人々が皆ノルマン人になりました。

そして、彼らが話していた言語はフランス語であったため、イギリスの上流階級ではフランス語が話されるようになりました

このようにして英語に大量のフランス語が流入されたのです。

英語に似た意味の言葉が多い理由

フランス語の流入によって英語はさまざまな影響を受けます。

一説には、現在の英単語の約6割はフランス語の影響にあると言われています。

ただ、単語数の問題ではなく、重複する意味や言葉の使われ方にも影響が出てきました。

意味の重複

昔の英語ももともと一つの言語として成り立っていた言語なのですが、フランス語が入り込んできたことで、もとの言葉と似た意味を持つフランス語の言葉も入ってきました。

例えば以下のような言葉がそれにあたります。

フランス語由来の言葉

・obtain(獲得する)

・purchase(購入する)

・possess(所有する)

これらの言葉はそれぞれ get, buy, have と似ています。そして現代英語の使い方としては少しフォーマルな印象があります。

他にも似たような言葉はたくさん入ってきたのですが、どれもニュアンスはフォーマルだったり、少し硬い印象がある言葉が多いです。

では、なぜこのようなニュアンスの違いが生まれたのでしょうか?

ニュアンスの違い

似た言葉でもニュアンスが微妙に異なることも、フランス語流入の歴史にヒントがあります。

フランス語の流入でイギリス内の言語の構図も特殊なものになりました。王様やその側近、学者などはフランス語を話すのですが、一般市民は今まで通りの言葉を話しました。

すなわち、上流階級の人々はフランス語(ラテン系言語)を、一般市民は今まで通り昔の英語(ゲルマン系言語)を話すという構図になりました。

ここに英語の微妙なニュアンスの違いが生まれました。

フランス語由来の言葉には上流の人たちが話すような、かしこまった表言や上流階級ならではのニュアンスが含まれるようになったのです。

お肉の例え

例えば、ブタは英語で pig ですが、これは生きてるブタを意味します。しかし、食肉については pork が使われます。

なぜ、食肉には pork が使われるのでしょうか?

実は pork はフランス語由来の言葉であり、上流階級の人たちに話されていました。

彼らは家畜を育てているわけではなく食卓に並ぶブタを見ることが多く、次第に pork という言葉は食肉に対して使われるようになりました。

しかし、それは上流階級での話しで一般の民衆は pig というゲルマン系の言葉を使い続けました。

一般の民衆は家畜などで生きているブタを目にすることが多く、次第に pig と pork で使われ方に差がうまれたのです。

同じ理由で cow と beef、chicken と poultry が使い分けられます。

ただし、鳥肉については食肉でも chicken が一般的です。
正直理由は分かりませぬ、、、

本の例え

食べ物以外にも、library にも同じ背景がうかがえます。

library は “図書館” という意味ですが、実は、”蔵書” という意味もあります。分厚くて重厚な本を意味するわけですが、このような本は学者や法律家が持っているイメージがありますよね。

当時、学者や法律家は身分が高く、ノルマン・コンクエストにより彼らもフランス語を話すようになりました。そして分厚い本に対してもフランス語由来の library という言葉を使うようになったと考えられます。

しかし、下流階級の人々は、今まで通り一般的な本を示す book という言葉を使い続けました。そしてこれはゲルマン系の言葉です。

実際に “本” はそれぞれの言葉で以下のようなスペルで書きます。

本(book)のスペル
ドイツ語
(ゲルマン系)
buch
オランダ語
(ゲルマン系)
boek
フランス語
(ラテン系)
livre
イタリア語
(ラテン系)
libro

ゲルマン系とラテン系でそれぞれ似ているのがわかります。

オランダ語なんてそっくりですね!
実際にオランダは英語を第二言語として最も得意な国とされています。

このように言葉は使われていた人の身分や習慣によって現代のニュアンスに影響を与えました。

まとめ

今回は英単語に似たような意味の言葉がたくさんある理由を英語の歴史を踏まえて紹介しました。

英語はもともとはゲルマン系の言語ですが、フランス語からの言葉の流入があり似たような意味を持つ言葉が増えたことが原因でした。

そして、フランス語が流入された歴史から、ニュアンスの違いも生まれました。

実は、フランス語からの影響は単語だけでなく発音にもおよびます。発音についてのお話はまた今度別の記事にしたいと思います。

それでは楽しい英語ライフを!